先日のフォーラムでは「500冊くらいは必要だと思う」と発言したのですが、それからあらためて、授業をはじめるにあたって何冊くらい本が必要なのかを考えたりしております。
「500」という数字はまったくの当てずっぽうというわけではなく、酒井邦秀・神田みなみ著『教室で読む英語100万語』(大修館書店)を読みかえし、確認をして出した数字です。この本では、多読に必要な図書の冊数について次のように書かれています。
多読授業では大量の種類と冊数の英語の本が必要になります。特に最初の段階では、1〜5分程度で読み終わる本を読むので、授業ないだけで一人が数十冊読むことを想定しなければなりません。40人クラスの場合、生徒一人が一度に5冊を自分の席に持って行ってよいことにすると、最低200冊必要になりますが、実際はその倍はないと本を選ぶことができなくなってしまいます。また、自宅や授業以外の時間でも読書することを奨励したいので、一人3冊貸し出しすると、1回に120冊の本が持ちだされることになります。(44)
このような状況を踏まえ、40人クラスで週1の場合で500冊という数字が出ていたわけです。貸し出される分も見こして少し多めになっていますが、人数の10倍というのが目安のようです。
導入時に用意しておくとよいのは、5分かからずに読み切れるような(総語数が500語まで)のやさしい本です。”Oxford Reading Tree”のStage4や5、”I Can Read”の一番やさしいレベルをイメージしてもらえればよいと思います。「こんな絵本みたいなものを読ませるなんて…」と思われるかもしれませんが、短くて簡単なものを何冊も読むことで「自分でも英語の本を読み切れる!」という自信が生まれ、グレイディッド・リーダーズにもすんなりと移行していけます。「英語の本」に対する心のハードルを下げることが多読の第一歩なので、コストパフォーマンスは悪くても、これらの本当にやさしい本を多種多様に用意することがキモになります。*1そのようなレベル0の他には、”Oxford Reading Tree”の続き、”Foundations Reading Library”、”Penguin Readers”のEasystartsやLevel1、”Oxford Bookworms”のStarters、”Cambridge English Readers”のStarterやLevel1、”I Can Read”や”Step into Reading”など、段階別読みものの入門・初級レベルを各種ということになるでしょう。レベル的には、教員が「やさしい」と思うものより1〜2段階やさしめのところでちょうどよいという感じです。*2学生がどんどんレベルを上げていけるようならば、様子を見ながら図書を増やしていけばよいと思います。教員側が試しに読んでみた時のものなどの私物があるでしょうから、pre-intermediate以上のものはそれでしのいでいけるはずです。
というわけで、今日はこのへんで。
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ちなみに、図書情報は『多聴多読マガジン』(←図書の一部[時にはまるごと!]が紹介されるので便利)やこちらのブックガイドから得ています。
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