博論を提出し学位をもらったのは6年前のことになりますが、その論文を加筆修正を加えて出版をしました。どんな経緯で出版にいたったのかを記録に残しておきたいと思います。
博士論文は、紙媒体(提出先の大学と国会図書館にそれぞれ所蔵される)と電子媒体で提出します。提出した論文は公開が原則で、提出先の大学リポジトリでの全文公開か出版が公開の方法になります。論文を提出した当初は出版の意志も予定もなかったため、私はリポジトリでの公開を選択していました。
そんな私がなぜ出版へと方向転換をしたかというと、出版社から声を掛けていただいたためです。コンタクトがあったのは2社で、1社はリポジトリを見て(だったはず)、もう1社は国会図書館で博論を読んだとのことでした(論文審査を受けていた当時は読者は審査の先生たちと公募の応募先の審査員だけだろうと思っていたため、明らかに論文を読んでいることが分かるメールを出版社の方からいただいた時には吃驚仰天したものです)。編集者から連絡をいただいたのをきっかけに出版の意志をかため、リポジトリの公開状況を要旨のみに変え、準備を始めました。
準備というと原稿の加筆修正もありますが、出版を実現させるうえでより重大なのは資金の工面でした。前任校にも現任校にも単著の出版助成の制度はないため、外部資金か自費で用意をしなければなりません。そこでまずは科研費(研究成果公開促進費)の獲得を目指しました。2016年度から2020年度まで(気力を失って応募をしなかった年は途中にあるけど)応募をしたものの、箸にも棒にもかからず。2020年度には民間の出版助成にも挑戦するも、これまた箸にも棒にもかからず。2021年度の前半に応募した民間の助成でも「お祈り」されたところで、助成が当たるのを待っていたら無理だ…と、助成金での出版を断念(財形貯金を切り崩すことを決意)。
助成の獲得を待たずに出版することを決めて原稿を提出してしまったら、校正やらなんやら、あれよあれよと事が進んでいったのでした。
過ぎてみて思うのは、博論をチェックしてくれる人というのは意外といるものだということ、そういう人からチャンスが転がり込んでくることがあるということ、資金面で腹をくくることさえできれば博論本の出版というのは夢語りでもないということです。夢語りでもないとは言っても、資金繰りは大問題です。そうじゃなかったら、論文提出から出版までに6年もの時間はかけません。支払後の通帳残高を前にしてめまいはしたけれども、一世一代のこととして挑戦してよかったかなと思います。
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