筑波大学公開講座「海外グラフィック・ノベルで出会い直す名作文学」(第5回:3月14日)に参加し、漫画でのシェイクスピア二次創作について耳学問。講師は吉原ゆかり先生でした。
講義のなかで、最近のシェイクスピア研究ではシェイクスピアを書斎(=活字)からではなくビジネス(二次創作、映画、関連商品、関連イベント)から考える傾向があるという話がありました。紹介されたものの量と幅広さを思うとさもありなんという感じで、「教養の英語でシェイクスピアなんか読ませているガー」という頓珍漢な英語教育批判*1についての北村紗衣さんの記事を思い出したりもしました。
さえぼう先生の記事はこちら(↓)。
さて、講座の中で言及されたものは次の通り(漏れあり)。
Manga Shakespeare: Romeo and Juliet (English Edition)
- アーティスト:Leong, Sonia
- 作者:Shakespeare, William,Appignanesi, Richard
- 発売日: 2018/10/10
- メディア: Kindle版
SelfMade Heroはイギリスの出版社で、シェイクスピア関連ではManga Shakespeareという全12巻のシリーズを出しているそうです。このシリーズは、原作に忠実でありつつ二次創作の要素も持つとのこと。
なお、SelfMade Hero社では、世界の名作をグラフィック・ノベルで読むというシリーズやムーミンのシリーズ、ノンフィクションのシリーズなども出しています。個人的には多読のテキストとしてもよいのではないかと思いました。
Kill Shakespeare – Past is Prologue: Juliet (English Edition)
- アーティスト:Howell, Corin
- 作者:McCreery, Conor
- 発売日: 2017/11/01
- メディア: Kindle版
アメリカから出ているKill Shakespeareのシリーズ。『ロミオとジュリエット』の二次創作のJulietでは、生き延びたジュリエットがニンジャ・アクションのヒーローのような描かれ方をしているそうです。
Manga Classics: Romeo and Juliet
- アーティスト:Choy, Julien
- 作者:Shakespeare, William
- 発売日: 2018/05/15
- メディア: ペーパーバック
こちらは Manga Classics というカナダの会社のシリーズ。このシリーズはシェイクスピア以外も扱われていて、ホームページにはSample Lesson Planが提供されていて文学学習にも役立つ仕組みになっているそうです。
次に、日本の漫画の例。まずは手塚治虫作品。
手塚治虫とシェイクスピアの関係についてはこちら(↓)にまとめてあるそうです。
他には…
ハムレットが大阪のヤンキーだったらという設定。 愛とリスペクトがこもった二次創作とのこと。
ジュリエットの母の視点から描かれた作品。真崎春望は他のシェイクスピア作品も扱っているそう。
他には『らんま1/2』にも『ロミオとジュリエット』のバルコニーシーンが出てくる話があるし、『黒執事』にはシェイクスピアへの言及が複数あるとのことです。メモをしきれず(間違ったメモをしていたため)、紹介はここまで。
それから、映像の二次創作としてはこちらも紹介。
*1:語学の授業で文学作品を教材として使うのは難しいという状況が全く分かっていないから出てくるものなので、こういう批判は完全に頓珍漢。
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